整備工場・板金工場・車販店の電話対応マニュアル|受付で聞くこと・言い方・メモの例文

整備工場や板金工場、中古車販売店にかかってくる電話は、入庫の予約、車検の問い合わせ、見積への返事、故障の相談、在庫車の問い合わせと、用件の幅がとても広いのが特徴です。新人の受付スタッフが最初につまずくのは言葉遣いより「何を聞けばいいか分からない」ことです。
この記事では、受け方の流れと例文に加え、自動車の店ならではの「どの車の話か」を聞く項目を用件別の表にしました。メモの記入例とマニュアルのテンプレートも載せています。
電話対応マニュアルとは|作る目的と載せる中身
電話対応マニュアルとは、会社にかかってくる電話を誰が受けても同じ水準で対応できるように、受け方の流れ、言い回し、用件ごとに聞く項目、担当者が不在のときの答え方をまとめた社内の手引きです。作る目的は主に3つあります。新人が一人で電話に出られるまでの期間を縮めること、聞き漏れによるかけ直しを減らすこと、誰が出ても店の印象をそろえることです。整備工場や板金工場、中古車販売店では、一般的なビジネスマナーの本に載っていない「車名」「ナンバー」「車検満了日」「代車の要否」を聞く場面が多く、市販の例文集をそのまま使うと肝心の項目が抜けてしまいます。分量はA4で2〜4枚ほどに収め、電話の横に置いて通話しながら目で追える形にします。
載せる中身は次の7つが目安です。
- 電話を受けるときの流れ(出る、名乗る、用件を聞く、復唱する、締める)
- よく使う言い回しと、言い換えたい言葉
- 用件ごとに聞く項目(入庫予約、車検、見積、故障、在庫車など)
- 担当者が不在のときの答え方と、伝言の残し方
- 折り返しを約束するときの決まりごと(いつまでに、誰が)
- 営業電話やクレームのときに誰へ回すか
- 担当者と内線番号の一覧、営業時間と定休日
見落とされやすいのは最後の一覧です。新人が電話口で一番困るのは「この用件は誰に回すのか」なので、板金は誰、車販の商談は誰、と1行ずつ書いておきましょう。
電話の受け方の基本マナーと流れ
電話を受けるときの基本は、3コール以内に出ること、最初に店名と自分の名前を名乗ること、用件を聞いたら要点を復唱すること、相手が切ったのを確かめてから受話器を置くことの4つです。4コール以上待たせたときは「お待たせいたしました」を最初に添えます。整備工場ではエアツールやコンプレッサーの音が受話器に入りやすいので、受付の電話はできるだけ工場から離れた場所に置き、整備士が工場の子機で出るときは「工場で受けておりますので、お聞き苦しかったら申し訳ございません」と一言断ると印象が和らぎます。下の7段階は、そのままマニュアルの1枚目に使えます。慣れるまでは、この4つを紙に書いて電話の正面に貼っておきます。
- 出る:「お電話ありがとうございます。○○自動車、受付の佐藤でございます。」
- 相手を確かめる:「山田様でいらっしゃいますね。いつもお世話になっております。」
- 用件を聞く:「本日はどのようなご用件でしょうか。」
- 必要な項目を聞く:次の章の表を見ながら、お名前、電話番号、車、用件ごとの項目を順に聞きます。
- 復唱する:「確認いたします。11月12日水曜日の午前、ノートの12か月点検でご予約ですね。」
- 次の動きを伝える:「当日は9時までにお越しください。作業はおよそ1時間半です。」
- 締める:「お電話ありがとうございました。佐藤が承りました。」
締めで自分の名前をもう一度言うのは、お客様が次に電話したとき「佐藤さんに話した件ですが」と言えるようにするためです。
整備工場・板金工場・車販店の電話で用件別に聞く項目
自動車の店の電話で聞き漏れが起きやすいのは、お名前と電話番号は聞いたのに「どの車の話か」を聞き忘れる場面です。家族で2台、3台と持っているお客様は珍しくなく、名前だけでは整備士が車を特定できません。そこで、どの用件でも「お名前」「折り返しの電話番号」「車名とナンバー(下4桁でも可)」の3つを必ず聞き、そのうえで用件ごとの項目を足す形にしておくと、マニュアルが短くまとまります。下の表は、整備工場と中古車販売店で多い用件について、共通の3項目に加えて聞く内容と、最後に添える一言を並べたものです。自社で扱わない用件は消し、保険、タイヤ預かり、レンタカーなど独自の用件があれば行を足して使ってください。迷ったときは「確認して折り返します」と言える一文も、例文集に入れておきます。
| 用件 | 共通の3項目に加えて聞くこと | 最後に添える一言の例 |
|---|---|---|
| 入庫予約(点検・オイル交換など) | 希望日時、作業内容、待つか預けるか、代車の要否 | 「作業はおよそ○時間です。」 |
| 車検の問い合わせ・予約 | 車検満了日、希望日、代車の要否、見積だけか予約までか | 「満了日を確認のうえ、日程をご案内します。」 |
| 見積への返事 | どの見積か(日付と作業内容)、担当者名、進めるか保留か | 「担当の○○から本日中にご連絡します。」 |
| 故障・異音・警告灯 | 症状、いつからか、走れる状態か、今いる場所 | 「無理に走らせず、いったん停めてお待ちください。」 |
| 事故・板金の相談 | けがの有無、車の状態、保険会社への連絡の有無、車の場所 | 「お写真を送っていただけると早く見積ができます。」 |
| 代車の問い合わせ | 必要な期間、希望の車の大きさ、運転する人 | 「空きを確認して折り返します。」 |
| 納車日の確認 | 契約した車、契約時の担当者、受け取り方法(来店か自宅か) | 「担当から納車の段取りをご連絡します。」 |
| 部品の入荷確認 | 注文した部品、注文した日、取り付けの予約の有無 | 「入荷しだい、こちらからお電話します。」 |
| 中古車の在庫問い合わせ | 見ている車(掲載していた場所、車名、価格)、来店希望日、下取りの有無 | 「現車確認のご予約もお受けしています。」 |
「ナンバー」はお客様がその場で言えないことが多いので、「お車の色と車種だけでも大丈夫です」と逃げ道を用意しておきます。故障と事故の行には、「走れない」「けががある」と聞いたら受付で抱えず責任者に替わる、と赤字で書いておくと安心です。
電話対応の例文|場面別の言い方
電話対応の例文は、電話を受けたとき、保留にするとき、担当者が出られないとき、聞き取れないとき、こちらからかけるとき、電話を終えるときの6場面を押さえれば、日常の電話の大半に対応できます。例文は1場面に1〜3文までに絞ります。候補が多すぎると電話口で選べず、いつもの口癖に戻ってしまうからです。整備工場では「担当の整備士がリフトの下にいて出られない」「見積の金額がまだ出ていない」場面が毎日のように起きるので、この2つの言い方は特に固めておきましょう。言葉の言い換えをもっと詳しく知りたい場合は電話対応の言葉遣い一覧も参考にしてください。受けた人の名前を最後に書くのは、内容に分からない点があったとき、読んだ人が誰に聞けばよいかを分かるようにするためです。
電話を受けたとき
- 「お電話ありがとうございます。○○自動車でございます。」
- 「山田様ですね。いつもお世話になっております。」
- 「恐れ入りますが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか。」
保留にするとき
- 「確認いたしますので、少々お待ちいただけますでしょうか。」
- 保留が30秒を超えそうなとき:「お待たせして申し訳ございません。確認に時間がかかりそうですので、こちらから折り返してもよろしいでしょうか。」
担当者が工場にいる、または不在のとき
- 「担当の田中はただいま作業中です。手が空きしだい、田中からお電話いたします。」
- 「本日田中は休みをいただいております。明日の朝、田中からご連絡いたしますが、よろしいでしょうか。」
- 「お急ぎでしたら、私がご用件を承ります。」
聞き取れなかったとき
- 「恐れ入ります、お電話が少し遠いようです。もう一度お願いできますでしょうか。」
- 「念のため、お名前の漢字を伺ってもよろしいでしょうか。」
こちらからかけるとき(車検の案内・見積・納車)
- 「○○自動車の佐藤と申します。山田様のお電話でよろしいでしょうか。」
- 「お預かりしているお車の見積ができましたのでご連絡しました。今、2〜3分よろしいでしょうか。」
- 「ご契約いただいたお車の納車日が決まりましたので、お知らせのお電話です。」
電話を終えるとき
- 「それでは12日にお待ちしております。佐藤が承りました。」
- 「お忙しいところありがとうございました。失礼いたします。」
電話に出る前に、お客様が分かる。デジクラは月額9,800円~(税別・別途初期費用)
日本カーネット株式会社 03-5256-7877(平日 9:00〜12:00/13:00〜18:00)
電話対応メモの例と残し方
電話対応メモは、受けた日時、お客様の名前と電話番号、車、用件、次にやること、受けた人の6項目で書くと、受けた本人がいなくても次の人が動けます。中でも大事なのが「次にやること」の欄で、ここに「誰が」「いつまでに」「何をするか」の3つが入っていないと、メモを読んだ人は状況を知るだけで終わってしまいます。たとえば「山田様から電話あり」だけのメモは、読んだ整備士が改めて山田様に用件を聞き直すことになり、お客様から見れば同じ話を2回させられたことになります。下の記入例は、12か月点検の予約を受け、工場長に枠の確認を頼む場面のものです。記入例のように具体的に書けば、読んだ人はそのまま動けます。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 受けた日時 | 11月5日(水)10時42分 |
| お客様 | 山田様(個人)、090-0000-1234 |
| 車 | ノート(白)、ナンバー下4桁 12-34 |
| 用件 | 12か月点検の予約。11月12日(水)午前を希望。代車は不要で、待合室で待つ |
| 次にやること | 工場長に12日午前の枠を確認し、本日15時までに佐藤から山田様へ折り返す |
| 受けた人 | 佐藤 |
名前と電話番号は最初の30秒で先に埋め、用件は話の終わりに復唱しながら清書します。テンプレートの詳しい形は電話の伝言メモの書き方とテンプレートで紹介しています。
紙のメモや付箋は、受けた本人が休んだ日や別の書類に紛れた日に役に立たなくなります。着信ごとにメモを残し、次の着信で前回のメモが画面に出る仕組みについては顧客対応メモの使い方で説明しています。
電話対応マニュアルの作り方とテンプレート
電話対応マニュアルの作り方は、①1〜2週間かけて実際にかかってきた電話の用件を記録する、②件数の多い用件から順に聞く項目と言い方を決める、③A4で2〜4枚にまとめて電話の横に置く、④月に1回、困った電話を持ち寄って書き直す、の4段階です。整備工場なら、電話が増える車検の繁忙期の前に一度見直すと、春に入る新人にも間に合います。①の記録は正の字で数えるだけで十分で、「入庫予約が1日8件、見積の返事が3件」のように用件ごとの件数が分かれば、どこから書けばよいかがはっきりします。作ったマニュアルは、新人だけでなく、ときどき電話に出る整備士にも同じものを渡しておきます。
3枚目以降はラミネートしておくと、整備士が油の付いた手で触っても汚れにくくなります。
そのまま書き換えて使えるテンプレート
- 1枚目:店名の名乗り方、営業時間と定休日、担当者と内線番号の一覧
- 2枚目:受け方の流れ(出る、名乗る、相手を確かめる、用件を聞く、復唱する、締める)
- 3枚目:用件ごとに聞く項目の表と、最後に添える一言
- 4枚目:場面別の例文(保留、担当者不在、聞き取れないとき、折り返しの約束)
- 裏面:営業電話とクレームのときに替わる人、店長の携帯番号、伝言メモの置き場所
着信と同時に相手が分かる場合のマニュアル
多くの店のマニュアルで、最初の一行は「お名前を伺う」です。電話に出る前にパソコンの画面にお客様の名前が出ていれば、この一行は「山田様、いつもありがとうございます」に変わり、お客様に名乗ってもらう時間がなくなります。着信と同時に顧客情報をパソコンやタブレットに出す仕組みをCTIと呼び、日本カーネットのデジクラでは登録済みのお客様の名前に加えて、前回の着信日や対応メモも出せます。出る前の画面がどう見えるかは着信時に顧客情報を表示する機能で紹介しています。
ただし、画面に出るのはお客様の情報で、今回どの車の話なのかは引き続き聞く必要があります。前回のメモに車名を書き残しておけば、「先日のノートの件でしょうか」と先回りして聞けます。デジクラの機能を一通り見たい場合はCTIシステムの機能一覧をご覧ください。整備・車販の業務システム DREAM POWER を使っている店では、登録済みのお客様の顧客名と電話番号が着信画面に出るので、電話のために顧客台帳を作り直す必要はありません(DREAM POWER との連携)。
よくある質問
Q. 電話対応マニュアルは何ページくらいにまとめればいいですか?
電話の横に置いて通話しながら見ることを考えると、A4で2〜4枚が目安です。細かい言い回しや例外は別紙にすると、電話口で探しやすくなります。
Q. 新人の受付スタッフはいつから一人で電話に出ればよいですか?
最初の1週間ほどは先輩の電話を横で聞き、表を見ながらメモだけ取る練習をします。そのあと、入庫予約のように聞く項目が決まった電話から一人で受け、車検の見積や故障の相談は先輩に替わる、と段階を分けると無理がありません。
Q. 整備士が電話に出ることもある小さな工場でもマニュアルは必要ですか?
必要です。電話に出る人が日によって違う工場ほど、聞く項目をそろえておく意味があります。整備士向けには「店名と名前を名乗る」「お名前と車を聞く」「誰がいつ折り返すかを約束する」の3行だけを工場の電話の横に貼っておく形でも、聞き漏れはかなり減ります。
電話に出る前に、お客様が分かる。デジクラは月額9,800円~(税別・別途初期費用)
日本カーネット株式会社 03-5256-7877(平日 9:00〜12:00/13:00〜18:00)

